萬年筆の思ひ出

2010年08月10日

一茶の句であったと思ふ。

 
 
朝晴れにぱちぱち炭の機嫌かな


この炭の機嫌といふのが面白いと思った。

萬年筆でも、どうかすると、使ひ馴れたものであっても、妙にこだわって書きづらいことがある。

そんなときに私は、ははァ萬年筆が悪いのだなと思ふ。

萬年筆の機嫌のよしあしは、そのペン先の持味にあるが、それは一つには突端のイリジュームの加減にもよることと思ふ。

イリジュームは北海道から産出されるものが世界でも良質であるといふ事を最近知ったのである。

この國産のイリジュームを巧みに加工したパイロット萬年筆を私は愛用している。

今まで単純な考へから、良い萬年筆は外國製品にのみ限られてゐる様に思ったのは過去のことで甚だしい偏見だと思ふ。

 


 

(パイロットタイムズ所載 萬朝報社支配人 黒岩日出雄氏 「萬年筆の思ひ出」より転載)