シカゴ ペンショー 2006  -   Chicago Pen Show 2006

2006年05月26日

 

今年もシカゴ・ペンショーへ行ってきた。 アメリカの空港に降り立つといつも思うことだが、あの2001年の 9.11以降米国ではテロ対策のため入国審査が非常に厳しくなっている。 2004年より指紋による入国チェックを行なっていて入国審査ゲートにはいつも ピーンと張り詰めた空気が漂っている。より安全を期すための措置であろうが、指紋によるチェックは我々日本人にとってはどうしても抵抗感がある。日本も将 来的には、来日する外国人から強制的に指紋をとる方向で進んでいるというが、日本の場合はテロ対策というより一般の犯罪捜査のために流用するのが目的のよ うに思える。空港審査、警備が厳しい一方、その設備は最新を誇り、歩き易さ、視界の良さなど、いずれをとっても気配りの行き届いた設計で素晴らしい空港だ と私は思う。ショッピングアイテムの貧相さはいただけないが、高級ブティックやおみやげ物店がこれでもかと所狭しと並ぶどこかの空港などの方がよほど異常 なのかもしれない。 


私の知る限りシカゴ・ペンショーは世界最大のペンショーの一つである。北米には他にワシントンDC、ニューヨーク、オ ハイオ、ロスアンジェルス、アトランタなどのペンショーがあるが、参加するディーラー、コレクターの数、その規模からいって他を圧倒する。ペンショーのス ポンサーは、七宝や様々な技法を駆使した高級万年筆を作っているクローネとペン・マガジンのペンワールドである。会場に設けられた200以上のテーブルの 上にヴィンテージ、現行品、限定万年筆などがところ狭しと並ぶ風景にはいつも驚嘆させられる。数えてみたことはないがおそらく数万本は並んでいるであろ う。

 

今年はいつも行われるオークションがなかったのは残念であったが、プロ写真家のテリー・クラークさ んのワークショップ「デジタルカメラでの撮影の仕方」やスーザンワースさんの「万年筆の探し方とペンショーが万年筆文化に果たす役割」というような題目の 講義、そして、「コレクターのための万年筆修理」と題するプレゼンテーションもあり結構楽しめた。


ペンショーに参加していていつも関心することに、欧米では子供連れを良く見かけるということがあ る。子供の頃から万年筆に親しませるという欧米と、万年筆人口が増えているとはいえ万年筆はまだまだ少数派の日本とではその差はまだまだ大きく、やはり筆 記具文化の差を感じてしまう。そう言えば一昔前までは日本でもペン習字の広告が雑誌によく出ていたが最近てっきり見かけなくなってしまった。パソコン全盛 で、日本古来の習字さえも科目からはずされている学校もあるというから、日本はどこか違う方向に進んでいるのではないかと思えてならない。

 

今年も日本からは中屋製作所と柘製作所が参加した。中屋製作所は回を重ねるごとに顧客もついてきて おり結構の人だかりであった。今回は吉田氏がペン先調製をやるかたわら漆塗り万年筆などを並べて販売していた。一方、柘製作所は昨年同様ブライアーやココ ボロに蒔絵を施した万年筆を並べて販売、そして、川口明弘氏がペンクリニックを行った。 最近、日本では文具店やデパートなどでペン・クリニックが盛んに 行われるようになり、ユーザーは、より良い書き味を求めるようになってきている。しかし、欧米では万年筆は通常店頭で販売されると、インクが出ないとか極 端な不具合を除いてクレームの対象となるということはないし、また、ユーザーもそれ以上の書き味を望むことはない。つまりほとんどの欧米の万年筆ユーザー は、各万年筆メーカーから出荷された万年筆をそのまま使用しているのが現状である。だから、万年筆を整備すると様々な書き味が楽しめ、また、そこにはまた 違った万年筆の世界があるということを知らないとも言える。その意味で、欧米のペンショーで川口氏や吉田氏がこのようなペンクリニックを毎年コツコツと 行っていることは大きな役割を担っている。

 

気の合ったペン仲間同士で出かける夜の食事は大切な情報交換の場でもある。ネットオークションが話 題になった。最近のネットオークションでは、日本人がやたらと高値で競り落としていることは周知の事実であるが、やはり、みな例外なく驚いている。機種に よっては、1、2年前まではせいぜい4-5万円も出せば買えたものが、最近では10万くらいの値段がつくことが頻繁にあるようである。これらの高額落札者 は、多くの場合日本人のようであるが、少々異常だ。今回は何人もの仲間から、「おいEizo、最近は日本人がクレージーな値段で競り落としているが一体ど うなってるんだ!?」というような質問を何度となく受けた。 当然のことながら物の高騰にはそれなりの要因 があるが、最近の万年筆価格の高騰ぶりは、相場を知らない一部の人たちがゲーム感覚でオークションを楽しんで(?)いるのではないのかと思われるような節 がある。 売り手が様々な工夫を凝らしているということもあろう。 てこったり(サクラを使い値段を上げさせる行為をいう)、あるいは、出品者自身が一度 落としてその商品を再度売りに出すということはネットオークションに限ったことではなく、大手のカタログ競売でもしばしば使われる手である。 いずれにし ても大事なことは、ネットオークションでの落札価格は必ずしも相場を表してはいないということをオークションに参加している人たちは知っておくべきであ る。もっとも、これらの高額落札者たちは万年筆好事家全体からみればごく少数派であり、大多数の人たちはもっと賢い買い方をしていると私は思っている。


ペンショーに参加していると楽しいから時間が過ぎるのが本当に早い。こんな楽しいペンショーに参加 できる楽しみを与えてくれるドン・ラビンさん、マイケル・フルツさん、ダン・ザゾーブさん、スポンサーの方々、また、多くの関係者の人たちにありがとうと 言いたい。  (藤井記)

 

 


Kroneのオーナー、ロバート・クローネンバーガーさんとオーガナイザーのドン・ラビンさん


会場受付


日曜日の会場の様子


会場となったWestin ホテルのシャトルバス


マイケル・フルツさんと談笑するKroneのクローネンバーバーガーさん


ずらりとならぶ Krone の高級万年筆


コレクターでは世界的に知られているマイケル・フルツさん(前列中央)は病気のためこの一年非常に大変な時期を過ごされ た。 そのマイケル・フルツさんを励ますため、地元のアーティストのフレッド・プリーワにマイケルさんの絵を依頼し、ドン・ラビンさんやディック・ジョンソンさ んをはじめとする沢山のコレクターの名前を刻んでマイケルさんに贈った。  写真は、ドン・ラビンさんが絵を贈呈しているところ。


レン・プロバイザーさん


レン・プロバイザーさんが扱っているモンブランの飛行機



Bexley のハワード・ レヴィさん(右端)


スーザン・ワースさん


川口明弘さんのペンクリニックの様子


柘製作所のブライアー万年筆とパイプ


David Oscarson のオーナー デイビッド・オスカーソンさん


まばゆいほど綺麗なDavid Oscarsonの万年筆


中屋万年筆のブース


中屋万年筆の佐藤さんと吉田さん


ミロスラフ・ティシュラーさんとオスマン・スーマーさん










ジム・マーシャルさん夫妻(両脇)





ゲーリー、マーリナ・レーラー夫妻


ビットナー


ジム・マーシャルさんとマイケル・フルツさん







Classic Pens のアンドレアス・ランブローさん


パーカーのコレクターのリック・プロパさんと私









貴重なパーカー51ブルーダイヤモンド  展示ケース、インク瓶やパンフレットなどもすべて当時のもの




ドン・ラビンさん、キース・ザランスキーさん、リック・プロパさん、オスマン・スーマーさんと川口 明弘さん


Pendemonium のインクコーナー


ブエノスアイレスから来ているジェシカ・クロックさん


ホテルの前に横づけられたリムジン  こんな車は珍しくないというからアメリカはやはりすごい


オスマン・スーマーさん、私、ギャビン・ピーターソンさんとミロスラフ・ティシュラーさん