万年筆の生活誌―筆記の近代―

2016年02月11日

 遅まきながら、国立歴史民俗博物館の企画展示「万年筆の生活誌」を観に行ってきた。万年筆をはじめ、その周辺のさまざまな展示物を観ていると、万年筆という筆記具が我々の日々の生活にどのようにかかわってきたのか、また、万年筆メーカーは、あらゆる角度から消費者を観ているのだということが見て取れ、非常に興味深い展示であった。「万年筆は身近な道具」なのだということをあらためて感じさせられた。

 

 圧巻は、やはり、NAMIKI製、勝田静璋の手になるドーム型蒔絵万年筆である(実物の展示は5月3日~8日)。由緒ある万年筆で、これほどの蒔絵万年筆を身近に観ることができることはそうそうあるまい。海外にいる蒔絵万年筆愛好家がさぞかしうらやましがるであろう。もう一つ特筆すべきは、58本の蒔絵万年筆の図柄を、まるで絵画でも観るように観賞できるというすごい装置である。これは非常に面白い。この装置は今回の展示にあたって特に製作された国立歴史民俗博物館のスタッフによる苦心の作という。勝田静璋のドーム型万年筆「蛙」、同じく精の万年筆「桜山」をはじめとする逸品を展開図で観賞できる「蒔絵展開装置」は今回の展示の見どころのひとつだ。

 

 ロンドン海軍軍縮条約の調印に歴史を刻んだ万年筆やポスター、紙ものも必見だ。万年筆愛好家ならずとも、この機会を逃さず、是非とも出かけたい企画展示である。

万年筆へのダメージを考慮して、展示ケース内の証明が暗めになっているが、これは美術・工芸品に対する思いやりというものであろう。(スィッチを押すと一時的に明るくできる) 展示は、AとBの2つの会場に分かれている。

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